アルツハイマー型認知症の新しい治療 ー 抗Aβ抗体薬治療について
- 2025.04.18
アルツハイマー型認知症の脳内では、「アミロイドβ(Aβ)蛋白」と呼ばれる老廃物が少しずつ蓄積していきます。 このAβ蛋白が神経細胞にダメージを与えることで、記憶や判断力に障害があらわれ、認知症が進行していきます。 近年、このAβ蛋白を取り除くことを目的とした新しい治療薬が登場しました。 2023年から2024年にかけて承認された「レカネマブ」と「ドナネマブ」という薬です。 いずれも、Aβ蛋白に対する抗体の働きで、脳内の老廃物を除去する「抗Aβ抗体薬治療」と呼ばれる治療法です。 この治療は、認知症が進行する前の段階 ― たとえば軽度認知障害(MCI)や早期アルツハイマー型認知症 ― に行うことが重要です。 多くの場合、本人よりもご家族が異変に気づきます。 「なんとなく最近もの忘れが増えた」「同じ話を何度もするようになった」と感じたら、それが大切なサインかもしれません。 この早期の時期に治療を検討することで、進行を遅らせる可能性があります。 実際、5年以内に約半数以上の方が認知症へ進行すると言われています。 「年齢のせいかな」と見過ごさずに、早めの受診と検査をおすすめします。 そして、抗Aβ抗体薬を使うかどうかは、最終的にはご本人やご家族の判断になります。 ただし、「今がその選択ができる大切な時期」であることを知っておくだけでも、将来の選択肢が広がります。 気になる症状があるときは、どうぞ遠慮なくご相談ください。 新しい治療の可能性を、一緒に考えていきましょう。
年表
2023(令和5) 年
6月16日 認知症基本法 公布
12月 アルツハイマー型認知症治療薬
ヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体
レカネマブ(遺伝子組換え)製剤 保険適応
2024(令和6) 年
1月1日 認知症基本法 施行
11月 アルツハイマー型認知症治療薬
ヒト化抗N3pGアミロイドβ注2)モノクローナル抗体製剤
ドナネマブ(遺伝子組換え)注射液 保険適応